熱傷に関する簡単な知識

概略と応急処置


熱傷を受傷した! スピードが大事です!

まず行うべきことは? 熱源を断つこと!


  • 熱湯による場合
    多くの場合、熱源はすでにありませんから、次に速やかに冷やすこと!

  • 火炎による場合
    速やかに冷やすことは同じです。しかし、まだ衣服が燃えている場合、そしてすぐに水をかけて冷やすことができない場合、すぐに地面上で転がり、火炎を消火させます。立ったままでは火炎が消えず、その高熱が作用し続けます。地面を転がれば熱が分散し、消火もしやすくなります。その間に、近くにいる人は消火用の水を用意しましょう。


次に冷やすこと!

  • 小範囲の創部(傷)であれば、水道水で。

  • 広範囲であれば浴室のシャワーで。
    冷やす時間はいろいろな意見がありますが、一般的には最低5分から30分くらいを、できれば流水で冷やします。ただし小児の場合、長く広範囲を冷却すると低体温をきたし、意識障害や不整脈を起こすことがあります。そうした症状に注意しながら、過度の冷却とならないようにしてください。

そして重症度を評価する! それによって次の対応が変わります。

  • 重症度は面積と深さで決まる!
    • 面積について
      簡単に熱傷面積を算出する方法として、成人に対しては「9の法則」、小児には「5の法則」があります。しかし多くの場合、受傷の現場でゆっくりと面積を計算している余裕はありません。

    • 深さについて
      表面の色調から深度をI~III度に分類します。I度~II度(SDB)は浅く、創部は赤色を呈します(お湯による熱傷など)。II度(DDB)~III度は深く、白色や灰色(時に茶褐色)を呈します(火による熱傷など)。
    • I度~II度(SDB)
      熱湯による
      II度(DDB)~III度
      着衣引火による

    • しかし、熱傷面は一様に同じであることは少なく、受傷現場で正確に評価することは簡単ではありません。まして、衣服を完全に脱がせられない状況では、評価は不可能です。

  • ではどうすればいいのか? 治療レベルの対応から考えてみましょう。

    対応の仕方 分類 深度と面積(特殊部位の有無)
    救急センターでの集中治療 重症 II度30%以上、またはIII度10%以上
    特殊部位(顔・手・会陰など)の熱傷
    気道熱傷、化学損傷、電撃症など
    一般病院での入院治療 中等症 II度15~30%、またはIII度2%~10%
    (顔・手・会陰を含まない)
    初期は外来で治療可能 軽症 II度15%未満、またはIII度2%未満

    • 表のうち重症と中等症は入院治療レベルです。重症はすぐに救急車を呼ぶべきで、中等症でも状況によって救急要請して構いません。冷却後の応急処置、病院前診断と搬送先の選別は救急隊が行います。
    • 軽症との境目は、成人であればII度15%以上、またはIII度2%以上となります(小児は熱傷により脱水を起こしやすく、成人よりは基準を低くして考える必要があります。また成人であっても、高齢者や有病者では同様に考える必要があります)。
    • おおまかに、その患者の掌の大きさが(体表面積の)1%に当たります。また成人なら上肢1本が9%、下肢1本が18%、体幹部の前面と後面がそれぞれ18%になります。幼児では上肢10%、下肢10%、体幹部の前面と後面が20%ずつ。小児では上肢10%、下肢15%、体幹部の前面と後面が20%ずつとなります。
    • 軽症と判断される場合、自宅で応急処置されても構いません。
    • ポイントは、創部は乾燥させないことです(乾燥により深度が深くなることがあります)。
    • 滲出液(滲み出し)が多い場合、過度の湿潤(水浸し)になると治癒が遅れたり、感染が起きたりしやすくなります。乾燥しすぎない程度に液を吸収するもので被覆する必要があります。
    • 水疱(水ぶくれ)が大きい場合、排液することが望ましい。
    • ある程度の大きさの3度熱傷は、手術治療が適応となります。また浅い熱傷でも、管理の仕方によっては深くなってしまうことがあります。さらに、治癒まで長くかってしまった創部は収縮を起こすので、瘢痕拘縮(引きつれ)やケロイド(醜形瘢痕)といった後遺症を残す場合もあります。
    • 創部は深度や部位や状態により、外用薬や外用材や処置を工夫した方がよい場合があります。自信がない場合、早期に外来を受診されることをお勧めします。

最後に
  • このページの内容は、「熱傷治療ガイド2014」(雑誌「救急医学」2014年9月臨時増刊号、へるす出版)によりました。
  • 用語について:「やけど」とは「焼けた所」→「やけどころ」→「やけど」からきている俗名です。正式には「熱傷」という言葉を用います。
  • 日本熱傷学会は重症熱傷(広範囲熱傷に加え、気道熱傷、電撃症、化学損傷などを含む)や特殊熱傷(顔、手、会陰部など後遺症を残しやすい部位)に対応できる専門医の育成、ならびにチーム医療を構成する関連分野との連携を図っています。
  • このページは適宜、追加・更新していく予定です。




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